社会政策課題研究所

社会政策課題研究所について

 今、世界の先進国の多くは、新型コロナウイルスの災禍を乗り越え、新たな時代を画策する段階に入っています。

しかしながら、日本社会は未だ新型コロナウイルスへの対応に苦慮し、多くの国民が感染の恐怖におびえながら、自粛を主体とする生活の中で新型コロナウイルスの災禍が通り過ぎるのをじっと耐え忍んでいる状況にあります。2021年10月1日からようやく全ての緊急事態宣言や蔓延防止措置が解除されるものの、多くの人々が第6波到来への不安を抱えています。

 今回の新型コロナウイルスの災禍は、奇しくもこの国の持つ脆弱性を明らかにしました。
特に、高い技術力を有するといわれてきた日本において、何故いち早く国産ワクチンを開発・生産し、国内外に供給することができないのか。ITを活用した効率的な検査、患者の管理、医療サービス提供の対応ができないのか。

日本のみならず世界の国々からも疑問の声が上がっています。

 新型コロナウイルスが発生する以前、日本を始めとする先進諸国が直面していた課題は少子高齢化に伴う社会保障費の増大や経済活力の維持でした。同時に、気候変動や食料問題など世界規模での対応が求められる課題も共有され、SDGsと呼ばれる持続可能な開発目標が掲げられつつありました。

 今後、日本社会が発展し、そこに生きる私たち自身が将来への不安を解消し幸せな生活を送るとともに、次の世代を担う若者たちが希望に満ちた新たな未来を切り開くためには、社会が直面する政策課題について真摯に向き合いその解を見つける取り組みが必要です。

こうした活動を実施するため、社会政策課題研究所を設立します。
社会政策上の課題
 現在私たちが直面している新型コロナウイルスへの対応に加え、乗り越えなければならない主要な社会政策上の課題は以下の通りです。

これらの課題は、日本社会全体に共通する課題でもありますが、単に国による横断的な支援策や制度論によって解決策を探すのではなく、地域の特性や生活環境も踏まえることで、より効果的で具体的な解決策を見つけ出すことができるのではないでしょうか。特に、名古屋という大商圏に隣接しながら、自然が豊かで、食べ物も美味しく、歴史や伝統文化も豊富にあり、日本の真ん中にあるという岐阜県においては、様々な可能性を考えることができるはずです。

新型コロナウイルスへの対応

 「正しく恐れる」
現在の新型コロナウイルス対策における最大の課題は、国民に「納得感」がないこと。

先の見通しが立たないまま自粛生活が1年半にも及んだ結果、自粛疲れによって政府からの要請に対する国民の協力が得られ難くなっている。特に、様々な情報が飛び交う中で、多くの国民が何を信じて良いのかが分からなくなっている。

「正しく恐れる」ことの意味を再確認し、コロナと経済的困難から命を守る取り組みを考える。

地域経済の活性化

 「そこに行く理由があれば人は動く。」
地域の魅力を再確認しこれを磨くことで、まずはその地域に住む人々が豊かになり楽しめる環境を作ること。
そうした魅力の発信によって交流人口を増やす。

新型コロナウイルスが後押しする形で進んだ働き方改革によって、
「自然が豊かで暮しやすい」ことと、「仕事がしやすい」ことが両立する可能性が出てきている。
更には、日本の真ん中にあり津波の心配のない岐阜県は、企業がサプライチェーンの拠点や生産工場を持つことの合理性がある。

人口減少(少子高齢化)

 「少子化」と「高齢化」は、全く性質の異なるテーマ。
「少子化」は、制度面、経済面も含めてあらゆる角度から一刻も早く対策を考え、実行する必要がある。
特に、二人以上の子どもを望む夫婦が実際には一人しか子どもを持てない実態を掘り下げることで、解決に向けての多くのヒントが見つけられる。

他方、「高齢化」は誰もが健康長寿を願いそれが実現しつつある結果。
むしろ「高齢化」を前提に、社会保障を始めとする社会の仕組みや働き方まで見直すことが必要。

教育・人材育成

 「感性」や「想像力」を如何に豊かにするか。
習い事や塾通いで自由な時間がどんどん少なくなっている子どもたちの生活。
子どもの頃にしか育むことのできない「感性」や「想像力」を如何に豊かにするか。
教育改革の根底にある大きなテーマ。

子どもの頃から「本物」に触れるとともに、インターネットを通じて世界とも繋がる教育こそ求められる理想の姿。

同時に、「人生100年時代」を迎え、複数の仕事を持つことが当たり前になる社会において、
学び直しや新たな知識・スキルを身に付けるための教育の機会を如何に豊富にするかを考える。

エネルギー・環境問題

世界が脱炭素を目指す動きは、天然資源に恵まれない日本にとって大きなチャンスになり得る。

しかし、再生可能エネルギーへの過剰な期待は禁物。
単に新技術に頼るだけでなく、私たちが今後どのような暮らしを望むのか、
それによってエネルギーの生産、消費のパターンが大きく変わる。

SDGsの観点も踏まえ、子どもたちや地球の未来も考えた対応を検討することが必要。

防災

温暖化の影響によって毎年のように発生する豪雨災害。
森林や河川の計画的な整備とともに、災害に強い住宅の開発が求められる。
地域の自治体と企業や住民が連携して行う避難訓練などにより地域コミュニティーの力を高めることが重要。

また、近々その発生が懸念される東海東南海沖地震を念頭に、被災者受け入れ県としての体制整備と近隣県との連携強化を行うことで、交流人口の促進を図る。